センスがいいって、何だろう。

センスがいいって、何だろう。

「センスがいいですね。」

そう言っていただくことがあります。

もちろん、とても嬉しいです。

でも正直なところ、私は自分のことを「センスがいい人」だと思ったことがありません。

世の中には素敵な着こなしをする人、美しいものを知っている人もたくさんいます。

だから若いころは、そんな人たちが羨ましくて仕方ありませんでした。

雑誌を読んでは真似して。

着ているブランドを着てみたり。

「これで少し近づけるかな」と思っては、また違う服を買ってみる。

そんなことを何年も繰り返してきました。

それでも、自分が思う「センスがいい人」にはなれませんでした。


服を作るようになってから、少しだけ考え方が変わりました。

センスは、人と比べて手に入れるものではないのかもしれない。

そう思うようになったのです。

もちろん、憧れは大切です。

「あの人、素敵だな。」

「こんなふうに歳を重ねたい。」

そう思う気持ちは、自分を成長させてくれます。

でも、憧れと比較は違います。

誰かになろうとすると、どこか苦しくなる。

誰かのようになろうとすると、上手くいかないと焦る。

だけど他人の目を気にせず、自分の好きだけに集中すると不思議と肩の力が抜ける。

私はその違いを、服づくりを通して教えてもらいました。


私はよく、「服は道具です。」と言っています。

これは、少し冷たい言い方に聞こえるかもしれません。

でも、私にとって道具とは、とても大切な存在です。

料理をする人には包丁があり、文章を書く人にはペンがあります。

服も、それと同じ。

人生を少しだけ豊かにするための道具であり、服そのものが主役ではありません。

その服を着て出掛ける。

その服で大切な人に逢いに行く。

鏡を見て、「今日の私、なんだか好きだな。」と思えたり。

服自体というよりも、その時間の方がずっと大切だと思っています。


だから私は、「センスを売りたい」と思ったことはありません。

でも、もし服にできることがあるとしたら。

その人が少しだけ前を向けるきっかけを作ること。

昨日より今日。

今日より明日。

ほんの少し、上を向ける自分になれる。

そんな時間を届けられる

その積み重ねが、その人だけのセンスになっていくのだと思います。


MAISON_GEEKは、リネンや縫製、機能性にこだわって服を作っています。

でも、それは服を売りたいからではありません。

服を通して、その先にある時間を届けたいからです。

今日という一日が、次のお出掛けが、少しだけ楽しみになる。

そんな一着を、これからも作り続けていきたいと思っています。


最後に

Instagramで始めた「偏愛」というシリーズ。

あの小さな投稿には、書ききれない思考がたくさんあります。

このNOTEでは、その背景や、ものづくりの考え方をもう少し深く綴っていこうと思います。

もしお時間がある夜にでも、コーヒー片手にゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。

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